月別アーカイブ:2016年11月

産業廃棄物最終処分場建設計画に関する委員長所見 ④地域の社会環境に与える影響について part2

(3)経済・財政への影響について

 輪島市の経済や財政にとって、処分場建設が多少のメリットをもたらすことは事実であろうが、輪島市が直面する経済・財政問題の<根本的解決>には何ら寄与せず、彌縫策にすぎない。むしろ、迷惑施設を待望・誘致する安易な外来型開発がもたらす、長期的な経済的な・財政的デメリットのほうを考える必要がある。

 外来型開発に地域の命運をかけた先行事例の多くは、こうした開発が、中長期的には経済的・財政的メリットが乏しいかむしろマイナスであり、自然環境の破壊と地域社会の活力の喪失に帰結することをしめしている。

 なお、上記(1)~(3)などの社会環境への影響は、他の先進諸国では当然のこととして環境影響評価の対象リストに多くの項目がとりいれられているが、日本では法制面の不備のためほとんどまったく顧慮されていないことを、大きな問題点として指摘しておきたい。

(付記)大釜集落住民による誘致について

 大釜の集落の維持・再生策の検討は、本委員会の所掌事項ではない。

 そのことを前提に、最終処分場建設計画の発端となった地元誘致の問題にあえて言及すれば、処分場誘致にいたった大釜住民の窮状と心情は理解できるが、処分場の誘致で問題の「解決」を図ることには同意できない。

 仮に最終処分場建設によって集団移転が実現したとしても、全市的に過疎化・高齢化が問題となっているなかで大釜住民のみがこうした方法で窮状を脱することは、過疎化問題の解決に何ら寄与せず、地域社会に分裂と対立を生じさせる結果を招くことになりかねない。

 また、「過疎化対策は迷惑施設の誘致で」という風潮を助長することも大いに懸念され、上記(1)、(2)との関連で問題であるし、そのような風潮を助長することは大釜住民にとっても不本意であろうと推察する。

 過疎化・高齢化対策、「限界集落」の維持・活性化策は、市民と市・県・国が連携し全力をあげて取り組むべき課題であり、早急な具体化が求められる。

(以上、2007年12月11日、第9回委員会で決定。)

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「産廃から里山里海を守る会」(守る会)を結成!

    9日、志賀町富来で「産廃から里山里海を守る会」(守る会)の結成総会が行われました。輪島市門前町大釜で、国内最大級の産廃処理場建設の動きが加速する中、輪島市では住民投票を求める署名運動が展開されています。産廃建設は、輪島市にとどまらず能登の観光や農漁業にも深刻な打撃を与えるもので、能登全域の運動に広げることをめざして「守る会」が結成されました。産廃建設の経過と現状について鐙邦夫輪島市議が、周辺環境に与える影響について中谷松助志賀町議が、能登の観光と地域振興に与える影響について小島昌治宝達志水町議がそれぞれ報告し、参加者から活発な発言が出されました。

 最後に行動提起として、現在取り組まれている「住民投票を求める署名」への支援を強めること、「産廃建設を認めないことを求める県知事、輪島市長あての要請署名」に取り組むことが、確認されました。(引用:日本共産党石川県委員会フェイスブックページより)

 

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産業廃棄物最終処分場建設計画に関する委員長所見 ④地域の社会環境に与える影響について

(1)輪島市のストックとの関連について

 上記のことをふまえれば、産業廃棄物最終処分場は、輪島市がこれまでに積み上げてきた自然的・歴史的・文化的・社会的等のストックのコンテキスト(文脈、脈絡)にふさわしくない。たとえ処分場建設が経済的等のメリットをもたらすとしても、輪島市は今後積み上げていくストックのコンテキストを転換することになる。

 コンテキストの転換それ自体は一概に否定されるべきものではない。しかし、転換には住民合意が必要であるが、それは未形成といわざるをえない。

(2)処分場の「社会的敵地」となる危険性について

 前項とも関わるが、本計画の受け入れによって、地理的・地形的・地質的等の条件に加え、社会的・政治的条件からも輪島市が産廃最終処分場適地とみなされ、つぎつぎと建設計画がもちあがる危険性を否定できない。

 実際、ひとつの処分場が建設されると、それにつづいていくつもの処分場がつくられた事例はめずらしくない。

(続く)

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産業廃棄物最終処分場建設計画に関する委員長所見 ③風評被害について

 いわゆる風評被害については、その定量的な測定はほとんど不可能である。

 しかし、能登半島地震の際に加賀温泉郷にまで宿泊キャンセルが多数生じた例などをみれば、最終処分場で事故が起こったり、実際には起こらなくても事故を連想させるような自然災害が発生したときには、観光業や漁業などの風評被害が相当大きなものになりえることは覚悟する必要がある。

 また、事故や災害が起こらなくても、「産廃を受け入れたまち」としてのイメージダウンも無視できない。

 これらは、定量的に議論できない以上、輪島市民が受容するかどうかにかかっている。

 本委員会でも風評被害が最重要の問題のひとつとして繰り返し議論となったが、風評被害にたいして強い懸念を持つ人々が多数存在すれば、それ自体、自治体として処分場の受け入れの是非を判断するうえで重要な要素である。

(続く)

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産業廃棄物最終処分場建設計画に関する委員長所見 ②計画の大規模性、長期性について

(1)リスク、不確実性について

 事業規模が大規模であるほど、また長期間であるほど、上述のような問題リスクは高まる。管理期間が60年間ということになれば、リスクから不確実性に転化するとさえいえる。(いまから60年前、1947年といえば日本国憲法施行の年であるが、それから今日までの社会の変化や科学技術の発展、環境意識の高まりを想起されたい。)

 「未知の有害性」の問題、廃棄物をめぐる社会的・経済的情勢の変化、北陸・石川における産廃処理業の経営環境などに関わるリスクを60年先まで評価し対応することは、事実上、不可能である。

(2)事業主体について

上記のリスク等から、事業主体である(株)門前クリーンパークの経営が立ち行かなくなり、管理能力を失うことがあり得るということも、考えておかなければならない。

 門前クリーンパークの現在の株主は、大成建設株式会社と株式会社タケエイであり、門前クリーンパークが管理能力を失った場合には、これら2社がなんらかの責任を果たすことが求められるであろう。

 大成建設は、日本を代表する建設会社であるが、バブル崩壊後のゼネコン危機のなか、2000年には大手4社で、有利子負債がもっとも多くなり(連結で9,663億円)、株価もいちばん低くなる(2000年6月19日終値151円)などの経験もあり、今後、数十年のあいだ万全かと問われれば、残念ながら不安なしといえない。また、談合事件に関与する(たとえば、新潟市談合事件(2004年)、防衛施設庁官製談合事件(2006年))など、コンプライアンス(法令順守)の点でも不安を否定できない。

 タケエイは、産業廃棄物処理の分野では最高水準の企業のひとつと目されているが、管理型最終処分場は有しておらず、また設立から30年しかたっておらず、計画の長期性を考えると将来の確実性には不安が残る。

 (以上は、各社の評価を確定的に述べたものではなく、本計画の是非を判断するうえで考慮すべき形式的可能性について論じたものである)

(3)計画の3期分割に関連して

 さまざまな問題について段落ごとにチェックできることは計画を3期に分けたことのメリットであるが、逆にいえば、計画のあとになるほど事故等の問題性が高くなる。しかも、事故があとになるほど、現世代の誰も対応できず責任もとれない。

 3期分割は、全体計画を前提とすれば評価できる点だが、期間分割が必要なほど大規模かつ長期の計画というところにやはり問題があるといわざるをえない。

(続く)

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産業廃棄物最終処分場建設計画に関する委員長所見 ①自然環境に与える影響について

 計画されている最終処分場の安全性は、現時点で最高水準ないしそれに近いものであろうことは理解できる。しかし、その上でなお以下のような不安が残る。

(1)法規制の不十分さについて

 排水に関して規制されている物質がドイツなど先進諸国と比べて少なく、規制を厳格に守っても、環境への悪影響の可能性は否定できない。また、総量規制の観点も欠落している。

 これは、本計画固有の問題ではなく、国の早急な対応が待たれるところであるが、本委員会が検討するべき問題は、違法か否かではなく環境汚染の危険性があるかないかであるから、規制対象外の物質による環境汚染や総量規制の観点の欠落への懸念は、重要な判断材料である。

(2)「未知の有害性」等について

 計測技術の発達などにより、将来的に「既知の物質の未知の有害性」や「未知の有害物質の存在」が明らかになる可能性は否定できない。60年後には及ぶであろう最終処分場の管理期間中には、その可能性は決して低いとは言えず、本委員会の誰も責任のとりようがないものを是とするlことはできない。

(3)想定を超える大地震の可能性

 能登半島沖地震(1993年、マグニチュード6.6)や能登半島地震(2007年、マグニチュード6.9)の発生を考慮に入れると、未知の活断層や活断層の見落としを含め、より大規模な地震が起こりえることも考えておく必要がある。本計画では相当規模の地震にも耐えられる設計になっているが、中越沖地震(2007年、マグニチュード6.8)における柏崎刈羽原子力発電所のように、「想定外」の事態もありえる。

(4)想定を超える豪雨の可能性

 近年、狭い範囲に短時間で過去の記録をはるかに上回る大雨が降る例が多くなってきている。本計画における大雨の想定は、治水ダムなど公的な計画における想定と比べて非常に小さいものになっている。

 処理能力を超える出水により、浸出水が未処理のまま下流に流される危険性がある。

(続く)

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